2025年6月16日㈪〜18日㈬、EXPOメッセ「WASSE」で開催され、3日間の総来場者39,663人を記録した「日本工芸産地博覧会」に出展しました。
【はじまりは、懇親会の一言から】
ことの始まりは、とある懇親会で「染道さん、万博に一緒に出ません?」と声をかけていただいたことから。いやいや、うちみたいな店が? 冗談でしょ?
【準備期間は、課題だらけ】
決まってからは本当にバタバタ。何を出品する? 我々らしさって何? 全国・世界から来る方々に受け入れてもらえるには? 商品の見せ方、パッケージ、英語対応、ポップの作り直し…。問題は山積で、日々の業務の合間に残業を重ね、悩みに悩みながら準備を進めました。
【言語化から始まった挑戦】
まずは思いを言語化しようと、頭の中に散らかった言葉を整理。「我々は何者か」「商品を通じて何を伝えたいか」「どんな物語があるのか」「なぜそのアイテムか」「商品名は?」「ターゲットは?」。言葉を吐き出し続けました。
【出した結論は「等身大の自分たちで」】
出した答えは、『背伸びをしても、よそ行きに取り繕ってもしょうがない、普段の我々で挑もう』でした。
日々、我々は和歌山、御坊、日高地方の地域に残る貴重なお祭に携わる商品を中心に、染物をしている。
そのことは恥じることでもないし、むしろ誇れる事だ!
今回の出展テーマを「和歌山の祭」にしようと決意できた。
【「工芸のどやっ!」に何を出す?】
また出展ブースとは別に、会場内で、「工芸のどやっ」という展示コーナーが設けられ、各出展店舗の関西弁でどやっ!
とドヤ顔できる、逸品の展示スペースが設けられた。
ここにも何を展示しようか、悩んだ!
我々は何をドヤできるんだ?
我々は、全国でもおそらく珍しい大きな大きな染物を制作できる技術を有している。
であれば、当地方の大きな祭礼幟をどやっで出展してやろう!
横約190cm×高さ8mの巨大な絵幟である。
この祭礼幟をどやっに出したい。
全国、世界の人々に和歌山の・日高地方の祭礼文化を見てもらいたい。
「我々がドヤ顔出来るのはこれだ!」と、運営の方々と相談を重ねながら、なんとか展示を実現することができました。
【連日ワークショップも大盛況】
会場では型染めワークショップも開催し、3日間とも事前予約は満席。当日も多くの方に染の世界を楽しんでいただきました。作品を手にした皆さんの笑顔に、私たちも元気をもらいました。実演販売も行い、立ち止まってくれた方との会話も本当に楽しい時間でした。
【心に残った、お客様の一言】
ある女性のお客様が「このイベントで一番楽しみにしてたのが、あなたのお店だったんです」と。えっ、本当に!? そんな日が来るなんて…胸が熱くなりました。
【誰も知らなかった「そめみち染物旗店」】
出展前は、「そめみち染物旗店って誰?」状態。不安だらけ。でも、“よそ行きじゃない、普段の自分たち”で挑もうと決めて、3日間やりきりました。結果、本当にたくさんの方に声をかけていただき、“まだまだやれる”と実感しました。
【感謝を込めて】
ご来場いただいた皆さま、「日本工芸産地博覧会」運営の皆さま、素敵な空間と円滑な運営に感動しました。そして懇親会でお声がけいただいた菊井鋏製作所の菊井さん(https://www.scissors.co.jp)、共に出展し光栄だった山家漆器店・山家さん(https://www.prinmail.com)、和歌山オープンファクトリー推進委員会の皆様、現地に駆けつけてくれた友人・仲間、御坊祭・紀小竹組獅子舞演舞の皆様、一緒に走ってくれたスタッフ・アルバイトの皆、ありがとうございました。
【三代続く染物屋として、これからも】
祖父の代から三代続く、和歌山・御坊・日高の地での染物屋。ここまでやってこられたのは地域の支えあってこそ。これからも地に根を張り、一歩ずつ恩返しを形にしていきます。そして今、また新たな挑戦を始めています。感謝と少しの誇りと未来への意欲を胸に、これからも走り続けます。どうぞよろしくお願いいたします。
【次回予告】
レポ②では、御坊祭・紀小竹組による獅子舞の演舞の様子や、出展の舞台裏を紹介します!



















